最近、いくら長時間寝ても疲れが取れない、だるい、頭痛がする……世界的に蔓延するウイルス対策などによって生活のリズムが崩れやすい昨今、こういった症状を抱えている人も多くなっているようです。一概に睡眠時無呼吸症候群だと決めつけることはできませんが、ストレスや体調不良により、体に大変な負担がかかっていることは事実です。こういう時こそ、今のご自身の状態を改めて確認し適切な対処を施す必要があります。
もしかして睡眠時無呼吸症候群?と疑った人には、何らか思い当たることがあるはず。まずはそこからひも解き、対処していくと良いでしょう。睡眠時無呼吸症候群の大きな特徴は何といっても睡眠時の「いびき」と「無呼吸」にあります。それを改善するためには、どのような原因があるのか……睡眠とその前後の習慣、普段の生活などについて見直していくことをお勧めします。

寝ている時に止まる呼吸は体への大きな負担

睡眠の悩みというと、寝つけない、トイレなどに頻繁に起きる、寝ても疲れが取れないなどが代表的ですが、実際に起床してすぐに倦怠感を感じる、頭痛がするなどの症状があっても、それを睡眠が原因だと結びつけることはなかなか難しいものです。ご自身が寝ている間のことは、ご自身では知ることができないため、同居人や家族など親しい人に手助けを頼むのも良い方法です。就寝時の状況をチェックしてもらい、どのような状態で寝ているのかを知ることで、自ずと対処法が見えてくることもあります。
睡眠中の悩みで多いのは、やはり「いびき」についてですが、元来どうしていびきをかくのか、良いいびきと悪いいびきがあるのか、いびきはいったい何をすれば治るのか……考えてみれば、いびきを知ることはご自身がどのような状態にあるのかを知る良い機会なのかもしれません。

上気道が閉塞しやすい口呼吸には要注意!

ここでは普段、無意識に続けている「呼吸」について、その落とし穴ともいえるチェックポイントを確認していきたいと思います。
ずばり「口呼吸」か「鼻呼吸」か、についてです。いずれにしても呼吸していることに変わりはないのですが、この違いが、健康な生活に大きく影響していることは明確な事実です。
確認する方法は簡単です。何かに集中している時、あるいは日常何気なく無意識に過ごしている時、そして眠っている時に「口を開けている」という人は「口呼吸」(口から息を吸って吐く)をしている可能性があります。
口で呼吸することによって、外部から雑菌やホコリなどを直接体内に吸い込んでしまうため、体の持つ免疫機能に影響を及ぼす恐れがあります。もちろん「いびき」という面からみても、口呼吸の場合、咽頭がより狭くなるため上気道が閉塞しやすく、いびきにつながる要素が拡大してしまいます。
口を閉じることによって口腔内の浄化作用が高まり、また鼻を通しての呼吸による雑菌除去によって、免疫力の向上が図れることからも、呼吸は鼻から行うのが望ましいとされています。「口呼吸」だと感じる際には医師に相談するなど早めの対処をお勧めします。

口腔内の環境を整える鼻呼吸の方法

口呼吸に対して「鼻呼吸」(鼻から息を吸って吐く)は、外部からの異物を自然にろ過できる構造になっています。また前述したように口を閉じていることで口腔内の浄化作用も高まります。今は「鼻呼吸」ができていたとしても、習慣によって口呼吸になる場合もありますので、正しい情報をもとに普段から意識的に「鼻呼吸」を心がけるようにすると良いでしょう。
専用のマウスピースを使用するなど鼻呼吸を促進するアイテムなどを活用するのも有効です。また鼻に何かしら疾患のある方は、専門医指導のもと、治療することも大切です。

他にもこんな対策を

いびきや無呼吸を改善するためには、「鼻呼吸」の習慣付けも効果的ですが、普段の生活の中にも、まだまだ対策できるポイントがあります。
いびきは上気道の閉塞から起きるので、原因の1つに「肥満」があげられますが、それ以外にも上気道の閉塞を誘引する習慣があるのです。たとえば飲酒。アルコールは筋肉を弛緩させます。当然、上気道の筋肉も弛緩するので気道は狭くなり、無呼吸状態に陥るリスクを高めます。飲み過ぎや就寝前の飲酒(寝酒)などは極力控えたほうが良いでしょう。喫煙も気道に炎症を起こすなど悪影響を与えるため、やはり睡眠時無呼吸症候群のリスクを高めます。また睡眠薬や睡眠導入剤の常習的な服用でも上気道の拡張筋を弛緩させ閉塞しやすくなります。安定した睡眠に役立つお薬ですが、医師とよく相談し注意して使うようにしましょう。ほかにも重要なポイントとして「寝る姿勢」があげられます。特に加齢などで筋力が衰えはじめている場合などは大きく影響されます。多くの人は仰向けで寝ていると思いますが、その場合は重力によって舌根が気道に沈み込みやすくなります。重力のかかる方向を変える……たとえば横向きに寝るだけでいびきの症状が改善することもありますので、試してみるとよいでしょう。
このように毎日の何気ない習慣の中にも多くの対策がありますので、ぜひトライしてみてください。

質の良い睡眠で健康に

質の良い睡眠は健康的な生活の基盤です。
おうち時間が増え、色々と試行錯誤しながら生活している中で、ストレスを感じることも多い日々が続いています。
睡眠時間のバラツキ、運動不足、食生活の変化、仕事への取組み方の変化など、様々な形で生活のリズムが崩れ、体調不良を引き起こすきっかけになることがあります。
肥満もその1つ。急にいびきをかくようになった場合は注意が必要です。
毎日のウォーキングなど適度な運動時間を確保しながら、適正体重の維持に努めましょう。また栄養バランスの整った食事を心がけ、暴飲暴食など不摂生につながることは避けるなど、改めて生活を見つめ直してみることが必要です。生活の乱れは加齢による衰えも加速させるため注意が必要です。
改善に取組むことはできても、すぐに成果を発揮することは難しいかもしれません。根気強く続けるためにも、睡眠時無呼吸症候群など気になる症状がある場合は、早めに検査をすると良いでしょう。スクリーニング検査は自宅でできる簡易検査です。精密検査の前に利用してみるのも良いでしょう。早めの対処で質の良い睡眠、質の良い生活、そして健康な毎日を手に入れましょう。