閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)

睡眠時無呼吸症候群で呼吸が止まる理由は、主に2つの原因が考えられます。ひとつは、閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)で、睡眠中に喉や気道に空気が通ることを妨げてしまうことで、呼吸が止まります。なぜ、気道に空気が通らなくなるかというと、首まわりの脂肪が多かったり、舌の付け根や、のどちんこなどが睡眠中に空気の通り道を無意識にふさいでいることが原因です。顎などの骨格が関係していることもあります。たとえば、骨格が大きければそれほど影響はない可能性がありますが、骨格が小さい場合には、余分な脂肪、舌の根や、のどちんこが睡眠中に気道を圧迫しやすくなりますので、呼吸が止まる可能性が高まります。睡眠時無呼吸症候群の90%ほどは、このように睡眠中に気道をふさいでしまうことにより呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸タイプ(OSA)であるといわれています。

中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)

もうひとつの睡眠時無呼吸症候群は、中枢性睡眠時無呼吸タイプです。このタイプは脳から呼吸をするための指令がでないことが原因で、睡眠中に呼吸が止まるといわれています。気道は開いているので、空気はしっかり届いています。また、肺や神経など特に異常はみられません。しかし、脳が呼吸の指示をださないために、「呼吸することを意識しない」という症状になるのです。睡眠時無呼吸症候群で中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)に該当するのは患者全体の数%ほどです。特に、心不全の3割ほどの患者は中枢性睡眠時無呼吸タイプ(CSA)が原因で呼吸が止まりやすくなっている傾向があります。]

⇒「睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群の見分け方

寝ているときに、突然いびきをかいたり、止まったりすることがあります。寝ているときに自分のいびきをチェックすることは難しいですが、家族に確認してもらうなどして睡眠時無呼吸症候群の可能性を調べてみましょう。たとえば、仰向けになったとたんに、いびきをかいたり、突然呼吸が止まってしまったりするような症状がみられることがあります。仰向で寝ることは、舌の付け根などが気道をふさぎやすい体制になります。気道がふさがれてしまうと、空気が通らなくなるので無呼吸状態になります。しかし、体を横向きにして寝ると、いびきをあまりかかなくなるという場合もあるでしょう。横向きは気道をふさぎにくい体制になりますので、空気が通り呼吸がしやすくなるのです。さらに、いびきの音が睡眠中に変化したり、いびきのペースや呼吸が止まっていたりする時間も不定期だと家族が気づくこともあります。寝ている体制によって、いびきの状態が違うなどの特徴がみられる場合には、睡眠中に気道をふさいでしまっている可能性が高く、睡眠時無呼吸症候群の傾向があるといえるでしょう。その他にも、日中の眠気などからも、十分に睡眠がとれていない可能性が伺えます。当センターのセルフチェックもお試しください。また少しでも気になる症状がある方は、自宅で簡単に行えるスクリーニング検査を当センターが提供していますので、受けてみるのも良いでしょう。

呼吸が止まることで引き起こされる病気のリスク

睡眠時無呼吸症候群は「いびきをかく」「途中で突然呼吸が止まる」などのサイクルを一晩で繰り返す特徴があります。もし、睡眠時無呼吸症候群と診断されたときは、すでに生活にさまざまな不具合を感じたり、病気を引き起こす可能性が高まっていたりするので、注意が必要です。たとえば、自分では睡眠時間をしっかりとっていると思っていても、無呼吸などが原因で深く眠れていないことがあります。そのため、突然会議中や、仕事中に強烈な眠気を感じて寝てしまうことがあるのです。また、高血圧や脳の血管障害、心臓疾患、うつ病や認知症などとも併発しやすいといわれています。「いびきをかく」「呼吸が止まる」などの症状が頻繁に確認されるようであれば、睡眠時無呼吸症候群を疑い、当センターのスクリーニング検査を受けてみたり、病院に行き医師の診断を仰いでみたりすることも大切です。治療をすることで改善が期待できるでしょう。