睡眠時無呼吸症候群と糖尿病に関する調査結果

ある調査によると、睡眠時無呼吸症候群を患っていると、一般の人に比べて糖尿病になるリスクが1.62倍になるということがわかっています。また、睡眠時無呼吸症候群の重症度が高い患者ほど、糖尿病を合併症として発症する可能性が高くなるという調査結果も出ています。これらの調査結果から、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病を発症させる重大な原因となっていることがうかがえます。
睡眠時無呼吸症候群は患っていることを本人が気付かないケースもありますし、気付いていてもその重大性を認識していないことが多いです。「糖尿病になるかもしれない」と言われてはじめて、ことの重大さに気が付く人がたくさんいます。睡眠時無呼吸症候群そのものも大きな問題ですが、それ以上に糖尿病は恐ろしい合併症の多い病気であるため、しっかり予防することが大切です。

睡眠の質の低下と糖尿病の関係

睡眠時無呼吸症候群になると、寝ている間に呼吸が止まることが多くなり、何度も目が覚めたり、息苦しい感覚になったりします。そうなると、睡眠の質が大幅に低下します。睡眠の質の低下と糖尿病の発症には、大きな関係があります。睡眠の質が低下すると、体のなかでさまざまな変化が起こります。
たとえば、交感神経が活性化したり、ストレスホルモンが過剰に分泌されたりします。そうなると、血糖値や血圧が上昇し、脂肪が増加しやすくなります。また、成長ホルモンの分泌が低下し、筋肉が減って脂肪が蓄積されやすい状態になります。脂肪が増えると体内のインスリンが正常に働かなくなってしまいます。この状態が慢性化したのが糖尿病です。睡眠時無呼吸症候群が糖尿病を誘発したり、悪化させたりすると言われているのはこのためです。

睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の原因

確かに、睡眠時無呼吸症候群は糖尿病を引き起こす原因の1つとしてあげることができます。しかし、糖尿病は生活習慣病とも呼ばれており、その発症の原因はほかにもあります。糖尿病の主な原因は、バランスの悪い食事を続けることによる食生活の乱れです。暴飲暴食をすることが多いと、脂肪を大量に摂取することも多くなります。反対に、このような食生活の乱れは、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因にもなります。睡眠時無呼吸症候群は多くの場合、首やあごに脂肪がついたり、アルコールの摂取で筋肉が緩んだりすることによって、のどがふさがれて発症します。
つまり、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病が合併症になりやすいのは、それぞれが同じ原因によって発症するためでもあります。2つの病気を併発している人のなかには、どちらが先に発症したのかわからないという状態の人も少なくありません。この2つの病気は、相互作用によって症状がさらに悪化することもあるため、注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群による糖尿病の発症を防ぐために

睡眠時無呼吸症候群によって糖尿病が引き起こされるのを予防するためには、睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の両方の原因である食生活の乱れを解消するのがもっとも効果的です。栄養のバランスのとれた食事を1日3回決まった時間にとることに加え、アルコールの摂取を控えることも大切です。また、糖尿病など生活習慣病の予防には、適度な運動も必要不可欠だと言われています。
いきなり生活習慣のすべてを見直すのは難しいかもしれませんが、できることから少しずつ取り入れてみてください。食生活の乱れは、睡眠時無呼吸症候群や糖尿病以外にもさまざまな病気を引き起こす原因となっています。自分自身の生活習慣を見直すことで、睡眠時無呼吸症候群や糖尿病、その他のさまざまな病気に対するリスクを減らしましょう。