睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に舌が喉の奥に沈下することにより気道が塞がれ、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、止まりかけたりする状態(睡眠呼吸障害)のために質の良い睡眠が取れず、日中の強い眠気や疲労感といった自覚症状を伴う疾患です。略して「SAS(サス)」とも呼ばれます。一般的特徴には大きないびきも挙げられます。
無呼吸とは、呼吸が10秒以上止まる状態のことを指し、それが一晩7時間の睡眠で30回以上、または1時間あたりに5回以上繰り返す状態が、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠障害が関与したと考えられる、世界の重大な事件・事故

スリーマイル島原子力発電所事故(1979年、アメリカ)

アメリカ合衆国東北部ペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所で発生した原子力事故。空気弁が閉じるという小さなエラーで安全装置が働き緊急停止したが、機械の故障と人為的なミスが重なり炉心が冷却されずメルトダウン。放射能が漏れ出し、半径8km以内の住民に避難勧告が出され避難するなど多大な影響をもたらす大事故となった。後の裁判で、従業員の人為的ミスは睡眠不足による疲労が指摘されている。

米スペースシャトル「チャレンジャー号」爆発事故(1986年)

スペースシャトル「チャレンジャー号」が打ち上げ直後に爆発、大破し乗組員7人全員が亡くなった。長時間労働と睡眠不足で、NASA職員が機体の整備不良を発見できなかったことが原因とされる。この事故を契機に、アメリカでは全土に約3000もの睡眠センターが設立され、睡眠への研究と国民への啓蒙活動が活発化した。

チェルノブイリ原発事故(1986年)

ソビエト連邦のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きた原子力事故。定期点検中に溶解炉で爆発が起こり、31人が死亡。大量の放射性物質が大気中に放出された。作業員の睡眠不足による操作ミスが原因と考えられている。

エクソンバルディーズ号原油流出事故(1989年、アラスカ)

原油タンカーが座礁により積荷の原油を流出させた事故。アメリカ史上最悪のタンカー事故で、海岸線1600kmが汚染され、清掃費用は21億ドルにも上った。航海士が睡眠不足による居眠りで警告音に気づかなかったとされる。

客船「スター・プリンセス号」座礁事故(1995年、アラスカ)

乗客乗員合わせて約2000人以上を乗せた客船がアラスカ沖で座礁。睡眠時無呼吸症候群による航海士の疲弊が原因だと結論づけられている。

検査や診断が普及していない頃の事故は、睡眠不足であってもSASであったと断定はされていません。
しかし、そうであったものも多数あると考えられます。
現在は、当財団でも行なっているスクリーニング検査などでSASである可能性を誰でも手軽に確認することができます。重大な事故に繋がりうる職業に従事している人はもちろんのこと、個人ひとりひとりが健康な生活を送るためにも、気になる人はまず検査してみてください。