睡眠時無呼吸症候群で合併する「治療抵抗性高血圧」とは

睡眠時無呼吸症候群によって合併する高血圧の中でも、特に高い確率で併発することが明らかとなっているのが、「治療抵抗性高血圧」です。3種類以上の降圧剤を服用しても目標値まで血圧を下げることができず、薬物療法によって血圧をコントロールするのが難しい状態です。他の高血圧患者と比べて、脳卒中や脳梗塞、心臓発作による死亡リスクが高く、専門医との連携が欠かせません。
高血圧患者の1〜3割が「治療抵抗性高血圧」といわれ、投薬だけでは改善が見込めないため、日常生活の改善で血圧を下げる療法が必要となります。糖質や塩分、アルコールの摂取を控えたり、適切な運動で体重をしっかりと管理したりといった地道な努力が大切です。また、解熱鎮痛剤やステロイド、甘草を含む漢方薬を常用している場合、血圧を上昇させる可能性があり、状況に応じて内服を改める必要が出てくるでしょう。

なぜ、無呼吸が血圧を上げるのか?

なぜ、睡眠時無呼吸症候群が血圧を上昇させるのでしょうか。無呼吸状態から呼吸が再開される際に、体は寝ている状態ですが、脳は「覚醒反応」という起きた状態になります。すると、睡眠が一時的に中断され、本来優位であるはずの副交感神経に代わって交感神経が働き、その結果、血圧が上昇していきます。こうして、睡眠時無呼吸症候群は「無呼吸」と「呼吸再開」を繰り返し、短期覚醒によって急激な血圧変動が持続されていくのです。全身は低酸素状態となり、心臓や血管に大きな負担がかかってしまいます。
これらが、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞といった心疾患の原因につながっていくのです。睡眠時無呼吸症候群は、無自覚な場合でも知らぬ間にこれらのリスクを増大させる恐ろしい病気であることを覚えておきましょう。

早めの受診を

「睡眠時無呼吸症候群ではないか?」と感じたら、まずは医療機関できちんと診断してもらいましょう。主に、耳鼻咽喉科や呼吸器内科などで診療してもらえますが、睡眠障害専門の「睡眠外来」が近くにあればベストです。睡眠の質や時間についてくわしく検査してもらえます。治療法には、「CPAP(シーパップ)」というマスクを鼻や口に装着して、装置から気道へ空気を送り込む方法や、睡眠中に「マウスピース」を口の中にはめ込むことで気道を確保する方法がとられます。状態によっては、外科的手術を行う場合もあります。
とはいえ、病院の治療だけに頼るのではなく、自身で生活習慣を改めることが不可欠です。肥満であれば減量に励む、飲酒や喫煙を控えるといった毎日の努力の積み重ねが、睡眠時無呼吸症候群の改善につながっていくでしょう。